在宅医を見つけるには

2013年2月17日
いらはら診療所 和田忠志

はじめに

多くの方から、「在宅医療を行う医師(以下「在宅医」と略します)を見つけることが困難」と聞きます。在宅医療を推進する私たちにとっては耳の痛い言葉です。

そこで、本稿では、「どのようにすれば在宅医を見つけることができるか」を書いてみたいと思います。

  1. 地域性

    概して、東京都二十三区、大阪市、京都市、名古屋市、仙台市などの大都市では、在宅医が非常に見つかりやすい傾向があります。一方、地方都市や過疎地では、在宅医を見つけることが困難なことが多い傾向があります。

    近年、「在宅医療を行う若い開業医」は急速に増えています。また、全国各地に、「在宅医療を主に行う診療所」も次第に増えています。諦めずに、ぜひ、探してみてください。

    私たちが知る限りで、確実に在宅医が見つかる地方都市には、新潟県南魚沼郡大和町、長野県茅野市、長野県臼田町、埼玉県三郷市、千葉県鴨川市、千葉県千倉町、千葉県市川市、千葉県松戸市、栃木県小山市、栃木県結城市、愛媛県松山市などがあります。そのほか、各地の県庁所在地では在宅医療を行う医療機関が増えてきているので、ぜひ探してみてください。

  2. 在宅医療の特性

    在宅医療は、医療機関と患者様の自宅が近ければ近いほど医療水準が高いと考えて差し支えないと思います。大まかに、患者さんの自宅から自動車で30分以内で到着できる医療機関を探すのが理想です。自動車で1時間程度かかる医療機関でも、訪問医療は可能なことがありますが、具合が悪いときに、医師が簡単に自宅に訪問できないということがあります。

  3. 在宅医を探す

    1)
    患者さんが入院しているとき
    病院の医療連携室・相談室(医療ソーシャルワーカー)に行く
    多くの方は、脳梗塞やがんなどの重い病気で病院に入院し、その後、継続的な自宅療養を希望し、在宅医を探されることが多いと思います。そういう場合の相談窓口を記載してみます。退院してから、在宅医を探すのでは、やや遅いと思います。退院する前に、できる限り早く、相談を始めたいと思います。 病院には、たいてい、「医療連携室」「相談室」という部屋があります。まずは、そこを訪れることをお勧めします。
    このような窓口には、通常、「医療ソーシャルワーカー」という専門職が、患者さん、ご家族の相談に応じています。「医療ソーシャルワーカー」は、医療の連携や、医療制度活用の専門家です。
    在宅医療を行う医師を、みつけたり、紹介したりすることも、「医療ソーシャルワーカー」の大切な仕事です。ぜひ相談してみてください。
    地域で探す

    退院前に、患者さんの自宅の近辺で、在宅医を探し始める方法もあります。
    例えば、次のような相談窓口があります。

    • 地域包括支援センター
    • 市役所の介護保険担当窓口
    • 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)
    • 訪問看護ステーション
    • 在宅介護支援センター(老人介護支援センター)
    • 保健所
    • 各地の医師会

    これらの窓口を訪れ、自宅近隣に在宅医療を行う医師がいるかどうかを聞くことができます。居宅介護支援事業者、訪問看護ステーション、在宅介護支援センターなどは、市町村で配布している「医療・福祉機関リスト」などに必ず掲載されています。
    特に、訪問看護ステーションは、在宅医の指示のもとに、様々な患者さんを看護している事業所ですので、「あなたの病状にあった適切な在宅医」を紹介してくれる可能性が高いと思います。

    インターネットなどで探す

    上記のように、病院の窓口や、地域の窓口で探して、在宅医療の医師を見つける方法がもっとも有効な方法です。しかし、下記のようなホームページにアクセスして在宅医を探す方法もあります。
    ホームページなどで探す場合、どうしても、その医療機関に対する真実の情報が分かりにくいということがあります。ホームページで探し当てた医療機関には、必ず事前に相談に訪れることをお勧めします。

    高知県のようにホームページで在宅医療や在宅緩和ケアに協力的な医療機関等を掲載している(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130401/ganjouhou-kanwa.html)地方公共団体もありますので、県や市のホームページにアクセスする方法もあります。

    書籍

    次のような書籍も出ています。

    • 「在宅ケアをしてくれるお医者さんが分かる本」 和田努 同文館
    2)
    開業医・病院に患者さんが通っているとき
    患者さんが、今、開業医院や、病院に通院しているが、次第に障害が重くなり、通院が困難となったとき、在宅医療を求めるという方法があります。
    開業医院に通院しているとき
    実は、一般の開業医の先生で、外来ばかりでなく、往診を行う医師はかなり多いことが分かっています。
    まず、あなたの先生に相談することをお勧めします。その先生が、通院困難な患者さんに対して、定期的な往診を行ってくれることがあります。とりわけ、もし、あなたが、その先生に10年とか20年の長期にわたってかかっているなら、ぜひ、その先生に続けてかかりたいと思うでしょう。ぜひ、その先生が往診してくれるかどうかを訪ねるとよいと思います。
    病院に通院しているとき
    まずは主治医に相談することをお勧めします。主治医の先生と話しても、なかなか往診は困難かもしれません。その場合、次に、上に述べた、相談室や医療連携室の扉をたたくことをお勧めします。
  4. 在宅医に相談するときの方法

    上記のような方法で、在宅医療を行ってくれそうな先生が見つかった場合、では、どうするか、を書いてみたいと思います。

    家族だけでも脚を運ぶ
    私は、まず、その先生のところに足を運ぶのがよいと断言します。「行って相談」してみなければ、具体的な診療内容が分からない場合があります。
    紹介状(診療情報提供書)はあるほうがよい
    相談時に、「紹介状(診療情報提供書)」を持っていくほうが圧倒的に有利です。「紹介状」というのは、現在の主治医が、今後の医師に書く手紙のことです。病院入院中や、通院中の場合、ぜひ、今診てもらっている先生に紹介状を書いてもらい、相談時にもって行きたいと思います。
    退院前に相談に行くほうが有利
    すでに述べてきたように、在宅医療を行ってくれそうな先生が見つかった場合、退院を待たずに相談に行くほうが有利です。
    もしかすると、患者さんの病気が特殊な病気の場合、その先生は在宅医療でその方を診療することが困難かもしれません。すると、別の先生を探さなくてはならないかもしれません。
    仮に、その先生が在宅医療を引き受けてくれる場合でも、「退院までに準備するもの、準備すること」などを、その先生から事前に教えてもらえることも多いのです。その意味でも、ぜひ、可能な限り、退院前に相談に行かれることをお勧めします。
  5. 病院と在宅医の関係

    現在の病院の通院を必ずしもやめる必要はない
    「共同診療」(あるいは「病診連携」)という考え方があります。
    現在通院中の病院があり、それとは別に在宅医を見つけたとき、病院の通院をやめる必要はありません。
    例えば、三ヶ月あるいは半年に一回ずつ病院にかかりながら、それと並行して、月に2~4回の在宅医療を受けることもできます。また、在宅医にかかっていて、入院が必要なときには、もともとかかっていた病院に入院することもできます。
    くすりは在宅医にもらうのがよい
    このように、在宅医療をうけながら病院への通院・専門医受診などを並行して行うとき、薬は、頻回に診ている在宅医に処方してもらうほうが有利です。病院から薬をもらい続ける方がいますが、在宅医に、一括して薬を出してもらうようにしたほうが有利なことが多いといえます。なぜならば、回数を多く診る医師のほうが、患者さんの状態の変化に柔軟に対応し、薬を調整できるからです。

以上、在宅医をさがす方法について述べてみました。根気よく探すと、在宅医療をしてくれる先生が意外に多いことにお気づきになると思います。ぜひ、地域で在宅医療をしてくれる先生を探してみてください。

▲TOP